湾岸戦争やイラク戦争、また近年では対イスラム国戦争において、イラクでは大量の劣化ウラン弾が兵器として使用され劣化ウラン弾の影響とされる白血病・小児がんが増加しています。また半世紀近くに及ぶ長い混乱により医療体制は崩壊したままになっており、未だ十分な白血病・小児がんの診断・治療ができません。JCFでは医療活動を通じ、病気の子ども達や避難民などイラクを構成するすべての人々が健康で安心して生活できるよう支援していきます。
小児白血病・小児がん医療支援
1991年の湾岸戦争において使用された劣化ウラン弾が原因とされるイラクの小児白血病や小児がん。その後も続く戦争や紛争などでイラク国内の医療インフラは完全に破壊され、また医師たちたちの多くが国外に流出してしまいました。湾岸戦争から30年を経た現在でも小児白血病、小児がんに治療に必要な医療体制に十分な復興がみられないままです。そこでJCFでは小児白血病、小児がんの診断や治療をしっかりと行える医療体制作りをサポートしていきます。国内避難民支援
2014年、イスラム国の侵攻によりおよそ400万人の人々が国内避難民となりました。現在、帰還事業が進んではいるものの、未だに多くの人々が避難生活を送っています。JCFでは特にイラク北部地域で避難生活を送る方々が保健サービスをしっかりと享受できるよう、避難民居住区に5つのプライマリ・ヘルケア・センター/ PHC(一次医療施設)を設立し、運営をサポートしています。 同施設はクルド自治政府保健局、イラク中央政府保健局、JCFがそれぞれ建物、人材、資機材を提供する3者の共同事業であり、また避難民だけでなく地元住民の方々にとっても重要な保健施設となっています。緊急支援
治安、財政状況が非常に不安定なイラク。現地の状況に応じて白血病治療やプライマリヘルケアサービスに不可欠な医薬品や医療必需品を支援します。また避難民キャンプや避難民居住区などを対象に必要に応じて水や食料の緊急支援を行います。2020年度の活動
モスル イブン・アルアシール病院の小児がん・白血病の子ども達の医療支援
当病院では年間270名の小児がん・白血病の子ども達が治療を受けていますが、まだ必要な治療が受けられない子ども達がたくさんいます。そのため正確な診断ができるようになるための医療支援を行います。
- フローサイトメトリー(細胞マーカー分析装置)の導入 顕微鏡を使った診断と比較し、より正確で細かい診断できることが特徴。がんの特性に合わせた治療が行われることで個別性のある治療を行い、治癒につながっていくことを目標としています。
- 医師研修 フローサイトメトリーの操作、分析作業ができるようになるための医師研修。 (当初はインドでの研修を予定していましたが、新型コロナウイルスによる国際情勢の変化によって予定通りの研修は難しく、現在調整中)
- 看護師研修 化学療法や骨髄移植に必要な技術や感染症対策を学ぶ研修を受け、子ども達のケアの質を向上できるようサポート。(バグダードでの研修を予定していますが、新型コロナウイルス感染状況の変化によって現在調整中)
- サイトスピン(集細胞遠心装置)の導入 治療のプロトコールを確立するために脳脊髄液内の細胞の染色標本を作るために必要な装置を供与。
アルビルブラッドバンクの支援
血液製剤、特に血小板の品質改善を目指します。安全な血液製剤を使用することが、治療の第一歩となります。
資機材の供与
- 献血ベッド10セット
- 血液バックシェーカー10セット
- 冷却式遠心分離機1台
- 血小板震とう機1台
輸血製剤は血液疾患の子ども達の治療にも必要不可欠ですが、現在、センターでは機材の老朽化、故障が多く必要な献血や輸血製剤の作成が円滑に行えていません。輸血製剤は温度管理など品質管理がとても重要です。機材を供与することで品質改善が進むよう、管理状況も合わせて支援します。
その他事業
- PHCにおける予防医療事業
- イラクの小児白血病の特性調査活動
- イブン・アルアシール病院、アルビルブラッドバンクを調査訪問
- 「#イラクにマスク」をキャンペーン
これまでの活動