モスルからの避難民の生活を記録したドキュメンタリー「The last plight」をご紹介します。
10分ほどのショートフィルムですので、すぐにご覧いただけます。
こちらからフルムービー(英語字幕)をご覧いただけます。→ 112613760
映画の中では彼らの生活の様子に加え、イラクにおける彼らのようなマイノリティが抱える政治的な問題についてもシンプルに説明されています。また今回の危機をきっかけにどのようにして自分たちの身を守るのかという切実で非常にセンシティブな問題に直面する彼らの姿も記録されています。サハルナイナワー地方はこれまでも中央政府とクルド自治政府の領有権争いがなされているところでもあり「論争の地」と称されてきました。
2015年度のイラクの予算案について中央政府とクルド政府の間でなかかなか合意形成がなされていませんが、その理由の一つにイラク中央政府がクルド政府軍の給与を負担すべきか、否かというものがあります。
一部報道によるとクルド自治区に分配されるイラク全体の予算の17%とは別に中央政府がクルド政府軍の予算を負担することで中央政府が譲歩したとも言われています。しかしアラブ側の議員からは「クルド政府はもらうばかりで与えることをしない。」といった批判がでているようです。
このように中央政府とクルド政府がサハルナイナワー地方の主導権を争う中、無力な彼らはどちらにつくべきか、もしくはどちらにもつかずに自治区を形成するか、といった形で自分たちの故郷の将来について真剣な議論を交わしています。
個人的には小さなこどもを抱えた若いお母さんがカメラに向かって「(ストーリーを)話せ、話せとあながたは言いますが、一人来ては私たちを写して去って行き、また一人来ては写して去っていくばかりです。こんなことに何の意味があるのですか!」と強い口調で話す姿が堪えました。
イラクにおけるキリスト教徒の現状は甚だ厳しいものですが、一方でマイノリティではないゆえに全く注目されない多数のイスラム教徒の避難民が2003年以降ずっと存在し続けていることもわすれてはならいと感じます。