成長して故郷を支えるアフマド・ムハンマド

 

昨晩、突然私のかつての患者さんから電話をもらいました。
12年前、私が再生不良性貧血の治療にあたった男の子アフマドからです。

 

2008年当時、私はモスルのイブン・アルアシール病院の小児血液腫瘍科に勤務しており、彼は10歳でした。facebook上でコンタクトをもらった時は、本当に驚きました。(写真左マスクの男の子がアフマド)

 

そもそも彼は22歳の立派な青年になっていましたし、アイコンの写真だけだと誰だかわからなかったからです。電話で彼が当時のことを説明してくれて「あっ!」と思い出しました。(写真成長した22歳のアフマド)

 

それからまじまじとアフマドのfacebook上での写真を見て嬉しくなりました。あんなに小さくて、病気に苦しんでいた男の子がこんなに立派に成長するなんて。さらに 2年前には結婚して家庭も築いていたのですから!(写真アフマドの息子マーヒル)

 

 

アフマドは当時の記憶を私に話してくれました。

「リカ先生がイブン・アルアシールを去る時のお別れパーティーはとても悲しい気持ちだったよ。

母親のように思っていたからね。

 

だから久しぶりにリカ先生どうしてるかなって思って、色んな人に尋ねたりして、リカ先生のfacebookアカウントにたどりついたんだよ」

 

(※リカ先生は2009年に度重なる脅迫を受けモスルを去ることになりました。モスルでは2008年頃から医師や大学教員が襲撃され殺害されたり、誘拐されたりする事件が多発していました。過去のJCFのblogでも言及しています。https://jcf.ne.jp/wp/archives/4370 )

 

彼が回復してから2年後に彼は妹を授かりましたが、その妹はリカと名付けられたそうです。彼女は現在10歳になっています。

 

アフマドは現在ニナワ県テルアファル郡にあるカスクという小さな村で食料品店を営んでいます。

 

コロナの影響で食料を仕入れることができるのは週一回だけですが、それでもがんばってお店を開け、村の人々に食料を供給しつづけるよう頑張っています。

幸いにもニナワ県ではコロナ感染者の症例はそれほど報告されていませんが、早期対策を実施しています。

私の患者だった多くの子ども達が回復し、その後立派に成長して生活を営み、また戦争でボロボロになってモスルの復興に尽力してくれているということは、私にって何ものにも変え難い、最上の喜びです。

 

 

ピンピンひらり

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