イラクの医療危機を探る旅 -6-

基礎薬品の8割以上が不足

 

前保健大臣のアルワーンがロイター通信に語ったところによると、2018年度のイラクにおける基礎薬品リストのうち85%以上が供給不足、または全く手に入らない状況だ。中でも抗ガン剤は高価で希少ため、最も密輸の対象となりやすい薬品である。

 

輸入薬品を取り扱う民間企業の責任者は語る

 

「国際企業はイラク政府の汚職やその不安定さが原因でイラク政府と直接に取引を行うことを避けている」

 

アルワーン前大臣も汚職については認識し、こう話している

 

「率直に言って行政腐敗はイラクに存在し、それは保健分野にとって大きな障害となっている。」

 

政府は薬品や医療資材の輸入を「キマディア」という国営企業を通じて行っている。同社の社長は医薬品会社との関係は良好であると主張するが、同時に同社が時代遅れであり、また資金に恵まれず、往々にして薬品需要に応えることができていないことを認めている。

 

かつてアルワーン前保健大臣がキマディア社長ムザッファル・アッバースに業務の合理化を要請したことがあったが、

ムザッファルは

「予算決定の遅れが薬品需要の調査の遅れに影響を及ぼしている。予算がなければ調査も合理化もできない。イラクは中央官僚制なんだから。」と答えた。

 

(その7へ続く)

 

これはロイター通信が作成したイラクの医療事情レポートを翻訳したものです。イラクの医療事情問題の把握にとても役立ちます。

アラビア語版
https://ara.reuters.com/article/topNews/idARAKBN20P1ZF

英語版
https://www.reuters.com/investi…/special-report/iraq-health/

前回までの記事

1 https://jcf.ne.jp/wp/archives/4456
2 https://jcf.ne.jp/wp/archives/4504
3 https://jcf.ne.jp/wp/archives/4521
4 https://jcf.ne.jp/wp/archives/4565
5 https://jcf.ne.jp/wp/archives/4584

ピンピンひらり

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