イラク支援

日本チェルノブイリ連帯基金の、イラクにおけるこれまでの主な支援活動をご紹介します。

2015年以降のJCFイラク活動報告

2014年6月のイスラム国の出現以降、迫害から逃れるために約400万人の人達が国内避難民としてイラク国内のクルド人自治区のアルビル市に居住。そのためJCFでは国内避難民の流入で医療サービスが不足になったアルビル市内にPHC(一次医療施設)を2つ開設。2017年7月のモスル解放、11月の最後の拠点奪還後も安全が確認できないため、まだ多くの国内避難民がアルビル市内で生活している。2017年に3つ目のPHCを開設。2018年には新たに2つのPHCを開設した。PHCでは一般内科だけでなく歯科、検査部、内視鏡検査やエコー検査など多機能な医療サービスを提供。現在5つあるPHCでは国内避難民だけでなく医療サービスが十分でなかった地元のクルドの人達にも利用される医療施設として活用される。最近ではIOM(国際移住機関)等国連組織によるサービス向上事業や母子保健室でワクチン接種も行われ医療サービスの充実が図られている。また施設は避難民であるアラブ人が医療従事者として働き、施設運営や建物の管理はクルド人が行う、協力関係によって成り立っている。

※イラク国内避難民支援事業は支援者の方々からのサポートと日本NGO連携無償資金協力による援助が活用されています

<JCFのイラクでの活動>

  • PHCでの医療サービス

    2015年1月
    マルチシムーニ教会クリニックに対する医療支援事業開始
    2016年5月
    アルビル保健局(クルド)、ニナワ県保健局(アラブ)、JCF(日本)の三者合同による国内避難民の多いハルシャム地区とゼイリーン地区にPHCを設置。ハルシャムPHCでは近隣の避難民のための学校の生徒のために学校健診を実施。
    2017年8月
    アルビル市内最大の避難民居住地区であるザイトゥン地区にPHCを開設
    2017年10月
    マルチシムーニ教会クリニックがアルビル市内での活動を終えカラクーシュ郡へ移転〜カラクーシュへの帰還者が増え、アルビル市内での活動を終了。
    2018年9月
    ハバード郡トプザワ村、アルトンシティ地区にPHCを開設。予定していたすべてのPHCが開設された。
  • 緊急支援

    2014年9月
    クリスチャンコミュニティが自主的に医療支援を開始。教会クリニックへ薬品緊急支援。
    2016年10月
    デバガキャンプに対する緊急支援〜新設キャンプにおける医療サービスの基盤作りを実施。
    2016年11月
    モスルからの避難民のチェックポイントであるハムダーニーヤにミルクやオムツの支援
    2017年12月
    ニナワ県ガイヤーラの国内避難民キャンプ2ヶ所で衛生状態の悪く感染症が広がっていたため清潔な飲料水を支援。
  • ロジュアワ救急病院に手術室設置

    2017年6月
    モスル市街地への軍事作戦開始とともに戦争による負傷者が増加し、負傷者を迅速に治療できる手術室の不足が問題となり受け入れ拠点となっていたロジュアワ救急病院に手術室を2つ設置。
  • イラク人医師研修

    2018年6月
    イラクにおける白血病治療の向上や血液バンクの充実を目的として2名の医師を招へいし信州大学付属病院、長野県立こども病院、長野県日赤献血センターなど視察。アルビル市内のセントラル・ブラッド・バンクの血液製剤の品質向上とモスルのイブン=アル・アシール病院の小児がん治療成績が向上するようサポートを予定している。(※イラク人医師招へい事業は立正佼成会一食平和基金の助成を受けて実施しました)
  • イブン・アル=アシール病院の看護師研修

    2019年
    2回に分けて看護師12名がバグダードの小児福祉教育病院で看護師研修を受講。モスルでも白血病や小児がんの子ども達の治療が安全に、また最善のケアができるように化学療法や骨髄移植のケア方法や感染症対策、チームケアについて学び、イブン・アル=アシール病院での看護に活かしている。(※看護師研修は立正佼成会一食平和基金の助成を受けて実施しました)
  • イブン・アル=アシール病院に麻酔器を設置

    2019年
    腰椎穿刺や骨髄穿刺のように強い痛みを伴う検査が負担が少なく受けられるように麻酔器を導入。イラクでは数少ない麻酔科のドクターが、毎週、日曜日と火曜日に行う。(※麻酔器の設置は立正佼成会一食平和基金の助成を受けて実施しました)

イラク国内避難民支援

西暦 アルビルマルチシムーニ教会クリニック アルビル避難民キャンプ
2015
  • 初期診療における投薬指導
  • 医療記録作成及びスタッフの育成
  • 健康手帳作成
  • 日本からの医療チームによる医療体制構築支援
  • 慢性疾患予防講座の実施
  • アルビル近郊避難民キャンプのクリニック開設準備

供与ならびに難民支援

西暦 医薬品および医療資材供与 医療機器供与 難民支援
2004
  • キリンビールより寄付された、白血球増加因子剤(G-CFS)をセントラル教育病院とマンスール小児福祉教育病院へ供与
  • セントラル小児教育病院へ医療機器を供与
    1. 遠心分離機
    2. 光学顕微鏡
    3. ペルオキシターゼ染色キット
  • マンスール小児福祉教育病院へ医療機器を供与
    1. 光学顕微鏡
    2. ペルオキシターゼ染色キット
2005
  • セントラル小児教育病院へ医療機器を供与
    1. 血液成分分析機(セルセパレーター)
    2. 小型超音波診断装置
  • マンスール小児福祉教育病院へ医療機器を供与
    1. 小型超音波診断装置
2006
  • 血液成分分析機の消耗品を供与
  • セントラル小児教育病院、マンスール小児福祉教育病院、イブンアルアシール病院に約1,200万円分の医薬品を供与
  • ルウェイシッド難民キャンプ健康診断
2007
  • 血液成分分析機の消耗品を供与
  • 日本化薬から寄付された、医薬品をバスラ産科小児科病院へ供与
  • ルウェイシッド難民キャンプ健康診断
2008
  • 血液成分分析機の消耗品を供与
  • セントラル小児教育病院、マンスール小児福祉教育病院、イブンアルアシール病院に700万円分の医薬品を供与
  • アルワリード難民キャンプへ医療機器を供与
    1. 遠心分離機
    2. 光学顕微鏡
    3. 血液分析機
2009
  • 血液成分分析機の消耗品を供与
  • ナナカリー病院に留置針、骨髄穿刺針と医薬品(ピングリスチン)を供与
  • セントラル小児教育病院に医薬品代200万円分を送金
  • ナナカリー病院へ医療機器を供与(予定)
    1. 超音波診断装置(エコー)
  • アルワリード難民キャンプ健康診断
2010
  • セントラル小児教育病院にセルセパレーター消耗品 ポリミキシンを供与
  • 小児福祉教育病院に骨髄穿刺 グラン アスパラギナーゼを供与
  • ナナカリー病院にセルセパレーター消耗品 フローサイトメトリー試薬を供与
  • ナナカリー病院へ超音波診断装置(エコー)
    2014
    • クルド自治区エルビルのマルチシムー二教会クリニックへの医薬品供与
    • イラク国内避難民支援

    研修および訪問団、会議への参加

    西暦 現地医師招聘研修 訪問団派遣およびJIM-NET会議参加
    2004
    • 参加7団体とともに※JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)の立ち上げ。
    • 第1回JIM-NET会議(8月・アンマン)参加
    • 第1回イラク支援訪問団派遣(10月)
    • 第2回JIM-NET会議(12月・アンマン)参加
    2005
    • セントラル小児教育病院のDr.イブラヒムを招聘し大阪赤十字センター、信州大学病院の視察と日本移植学会への参加
    • 第3回JIM-NET会議(9月・アンマン)参加
    2006
    • 第4回JIM-NET会議(3月・アンマン)参加
    • 第5回JIM-NET会議(9月・アンマン)参加
    2007
    • 第6回JIM-NET会議(6月・クウェート)参加
    • 第7回JIM-NET会議(11月・クアラルンプール)参加
    2008
    • 第8回JIM-NET会議(10月・イスタンブール)参加
    • 第2回イラク支援訪問団派遣(11月)
    2009
    • Dr.リカァ(JICA研修員)の招聘研修のサポート
    • Dr.マゼン、Dr.ナジハ招聘研修事業
    • 第3回イラク支援訪問団派遣(8月)
    2010
    • Dr.リカァ(JICA研修員)の招聘研修のサポート
    • Dr.ターリク、Dr.ハナサイン招聘研修事業
    2011
    • Dr.リカァ(JICA研修員)の招聘研修のサポート
    • Dr.サルマ、Dr.ナシール招聘研修事業
    2012
    • Dr.リカァのイラク白血病患者の遺伝子解析研究協力
    2013
    • Dr.リカァのイラク小児白血病の研究協力
    ピンピンひらり