2月18日付けの信濃毎日新聞でJCFが実施するイラク、モスルにおける小児白血病支援事業を取り上げていただきました。
新聞の見出しには「大きな一歩」と記載されています。これは今までずっとマイナスの状況からようやくスタート地点にまで戻ることができ、初めて何かを積み重ねることができたからでした。
もともとJCFはイラクにおいて劣化ウラン弾の関与が疑わる小児白血病、小児がん支援を行ってきました。しかし、その支援は現地の治安情勢により遅々として進みませんでした。
イラク戦争後もモスルは他の地域に増して不安定な情勢が続き、そして2014年にはイスラム国の台頭により膨大な数の避難民が発生しました。このよう緊急事態の中、小児白血病支援は後回しとなり、まずは逃れてきた避難民の方々の健康を守ることに注力せざるを得なくなりました。
JCFでは約5年の歳月をかけてエルビル市近郊の避難民居住区に基礎医療施設を設置することでこの状況に対応し、避難民は現在まだまだ問題は山積しているもののモスルに帰還できるようになりました。
こうしたプロセスを経てJCFはようやく本来の白血病支援事業に立ち返ることができるようになったのです。今回イラク北部の小児がん小児白血病の拠点病院であるイブン・アルアシール病院にフローサイトメーターの検査部を設立したことで、ずっと続いていた穴の開いたバケツに水をくむような状況が終わったような気がしました。
イラクの小児がん、小児白血病支援において何かを積み重ねることができ、そこから発展することができるのはないかと感じています。
もちろんそうは言ってもイラクはまだまだ大変な国で、つい先日の2月15日にはJCFが事務所を構えるエルビル市に複数のロケット弾攻撃があり死傷者が出る事態になっています。
他にもイスラム国討伐で活躍した民兵組織と国との間のバランス危うくなっていたり、改革運動を行う市民の要求に未だに国は明確な回答を出せずにいたり、またイラク中央政府とクルド自治政府の予算を巡る攻防が慢性化していたりと、まだまだ安定というにはほど遠い状況です。
しかし今回の事業で踏み出せた一歩が地中深くに穿たれた楔のように確固たるものとなり、イラクの安定と発展に寄与するものとなればと切に願っています。
今回のご支援にご協力いただきましてどうもありがとうございます。
※本事業に関する動画をJCFのYOUTUBEチャネルで御覧いただけます。
イラク小児白血病支援 モスル初のフローサイトメーター導入
https://www.youtube.com/watch?v=IK03dOMGoDA
JCFモスル小児白血病支援1
https://www.youtube.com/watch?v=pIvsWhGQlHY
JCF 公式YOUTUBEチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC61kWDen0kFpql0gAlytn3A
※本事業は日本NGO連携無償資金協力事業によって実施されています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/shien/j_ngo_musho.html