バグダードど真ん中、タフリール広場で床屋を営む白血病の少年が政治腐敗と戦う。-前編-

2019/12/17 Aljazeera

 

存在証明の旅

デモ隊のテントで溢れるバグダードのタフリール広場。テントはそれぞれ学生のグループや職業別のグループなどに分かれており、加えて救急隊、活動家、地方から出てきたグループのテントなども存在する。

 

(以前のブログでナシリヤから来ているグループをご紹介しましたので、そちらも参照あれ。)

「続・バグダード」http://jcf.ne.jp/archives/4309

 

ナシリアはバグダードの南東360kmの都市。2003年にはイラク戦争の戦場となった

 

その中にデモ隊の間では知らぬ者がいないというテントが存在する。デモ隊のために無料で床屋をやっているハムドのテントである。彼は白血病と戦っている。ハムドことムハンマド・フィラース(17歳)は白血病の治療を受けるため中学3年を最後に学業を諦め、その後理髪を学んだ。

ALJAZEERA MEDIA NETWORKより

 

2019年10月デモが始まった当初、ハムドはディヤーラに住む家族のもとにいた。当時ディヤーラでも(デモ隊と治安部隊との衝突のため)外出禁止令が出されており、彼の家族はハムドのバグダードのデモに参加したいという意向に反対していたが、ハムドの強い信念により結局は家族もハムドのバグダード行きを容認せざる得なくなった。

 

ハムドにはバグダードに住む叔父がいる。ハムドがバグダードに来ることなって叔父がハムドに付き添うことになった。この叔父はハムドの旅、つまりハムドが自分の存在を証明するため、彼の白血病治療のために必要なものを訴えるため、また、これまでなおざりにされてきた保健分野への関心を求める旅の付き添い人である。

 

ハムドの二つの戦線

10月25日、ハムドはタフリール広場に到着、デモ活動の第二波から参加した。デモ隊のテントは連なって張り巡らされ、その数は目まぐるしく増加し、デモ隊の要求を実現させんとする圧力はどんどん強まった。

 

「落ち着いた状況、デモ隊による自制、タフリール広場の冷静なムードのおかげで俺が『がんと戦う手、腐敗と戦う手』と名付けたテントで安心して過ごすことができていたよ。ここに理髪道具を持ちこんでからデモ隊の人々のために無料で床屋をやるようになったんだ」

 

「俺が伝えたいメッセージって、要するに俺は病気だけど、そんなの関係なくて、俺だってデモをやれるんだぜってこと。そして俺はデモ隊のために俺ができることをやっていくつもりだ」

(後編へ続く)

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