ブックタイトルグランドゼロ107号

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概要

「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。

27力事件や衝突から明らかになるのは、『常に市民が犠牲者である』ということであり、その多くが子供、女性、高齢者などの弱者です。 イラクを例にして、避難民の窮状を述べましたが、その一方で国連などの様々国際機関が数十年に渡り、避難民を含む人権や人間の自由を守るための努力も行ってきました。もちろんそうした努力だけでは武力紛争を完全に阻止することは難しいですが、少なくとも喫緊の課題としては、国際決議で採択された基本的人権の保障や身の安全の保障に基づき、避難民を庇護し、彼らの権利を保障し、彼らを危険から遠ざけてあげ、一定の安心を与えてあげることが大事なのです。 イラクの国内避難民の大半は庇護や支援を必要としている少数派の人々であり、弱者です。 例えば、まずキリスト教徒避難民は10万人、ヤズィード教徒避難民は40万人であり、これはイラクにおける全ヤズィード教徒の総数65万人の75%に相当します。また、シャバク教徒避難民は20万人です。現在クルド自治区はアンバール県、ニーナワー県(モスル)、サラーッフディーン県(ディヤーラ)からこうして逃れて来た避難民をおよそ200万人受け入れており、さらに、イラクの他県にはこれ以外にも70万人の避難民が、ホテルや賃貸住宅、親戚の家、建設中の建物などで避難生活を送っています。 避難民の大半は居住場所に事欠き、狭いテントをあてがわれるなどしていますが、そこに大勢で暮らさなければなりません。そのため、あっという間に感染症が蔓延するなど、保健面でも大きな問題があります。 それだけではなく、ネズミや毒蛇やサソリなどがいる場所もあります。食料や衣服や医療サービスといった基本的な支援の不足の他にも火災が生じるケースもあります。最近ではビハール・ターザ避難民キャンプ(バアクーバ北部)において6人の子供が死亡する火災が発生しました。 さらに失業も大きな問題となっています。そもそも彼らは仕事の機会が多くある大都市から避難先に避難してきました。ここでは生活の糧を得るための働く場所を見つけるのも困難であり、工場などもありません。こうした状況はどんどん悪化する傾向にあります。また、避難民家族の中には身体的な暴力や性的暴力に遭遇するケースも増えています。 こうした中でキリスト教徒に関しては例外的と言えるかもしれません。モスルからの大量避難期であった2カ月間(2014年8月? 10 月)、一致団結して状況に対応できたため、コンテナやアパートを支給され現在はテントで生活する人もほとんどいなくなりました。またヨーロッパ、アメリカ、カナダ、