ブックタイトルグランドゼロ107号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
14人を化学兵器によって殺害した)や、また政治的にもすでに述べたように石油利権をめぐる対立や、水資源を巡る対立が存在しています。さらに領土問題も大きな問題として両者の間に立ちはだかり続けています。特にニーナワー県はクルド自治区と隣接しており、この県境は『論争の地域』と称され、中央政府とクルド自治政府の間の領土問題が先鋭化するところでした。 そのニーナワー県の保健局とクルドが困難を乗り切るために協力しようとしているのです。JCFの役割 さて、本題である第2期N連事業に話を戻します。 JCFは本事業期間中にニーナワー県と協力して国内避難民のためのPHC(一次医療機関)二つを設置する予定です。これはマルチシムーニ教会クリニックだけでは到底対応できない数の避難民に対応するため、また遠隔地の難民に医療サービスを提供するため、そしてそれに加えて、ニーナワー県の余力(人材)をここに投入し同県の医療サービスを活性化させるためです。 なかなか適切場所が見つかりませんでしたが、アルビル保健局が土地と空き家を供給してくれることになりました。しかし、双方の予算不足から医療資機材を整えられないことが最後の課題として残っています。 JCFはここで使用される医療資器材(超音波診断機、心電計、顕微鏡、生化学分析器)を支援することによってこの非常に稀有な両者の協力を完成させたいと考えています。いわば歴史的、政治的に対立関係にあるアラブ、クルド両者がそうした対立を乗り越えて、協力するための架け橋としての役割をJCFの支援は果たします(ちょっと大げさですかね……)。これは避難民と地元民に医療サービスを提供するために様々な壁を取り払ってアラブ、クルド、日本が協力する初の共同事業です。4月の頭にはなんとか開院に漕ぎつけたいと考えておりますので、次号のグランドゼロではそのご報告ができればと思います。まだまだ問題が山積み……しかし この稿を書いているたった今、モスル奪還軍事作戦が開始されたというニュース速報が飛び込んできました。非常に驚いています。実はこの作戦について、いつ始まるかというのが大きな懸念事項でした。というのも、モスルには未だ百万人近い人々がイスラム国支配の下で暮らしており、軍事作戦が開始されれば再び大規模な避難民の流入が予想されるからです。 こういう事態を予想して新たに流入