ブックタイトルグランドゼロ107号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
13 クルド自治区の財政危機により、今度は国内避難民を受け入れているクルド自治政府の保健サービスが停滞し始めました。顕著なところでは、医療施設の建設の中止、また新卒医師の採用の見送り、また高等教育省でも給与の削減、遅配が生じたために、大学の医学部の教員がストライキを起こし、本年度の学生の卒業や国家試験の受験が危ぶまれるなどしています。 こうした状況が医療現場にも迫っており、このままでは避難民はおろか地元住民も医療サービスを享受できなくなりかねません。実際、既に国内避難民にも地元住民と同様に医療サービスを提供しているクルド自治区の医療インフラはパンク状態で、人手不足も目立ち始めてきました。受け入れ国が危機的な状況に陥れば陥るほど、受け入れる側(クルド)と受け入れられる側(避難民)の軋轢が生じやすくなる危険も出てきます。ピンチをチャンスに クルド自治区の財政危機は国内避難民、地元民の両方に大きな打撃を与えます。しかし、これをチャンスに変える機会が訪れました。 話をニーナワー県保健局の問題に戻します。先ほど、同保健局は、マンパワーはあるものの医療サービスを提供する場所がありまないと述べました。一方クルド自治政府は医療従事者を必要としています。またクルド自治区は経済危機で医療行政計画、特に新しい医療施設の計画はとん挫し、それを完成することができないでいますが、土地や空き家をいくつか保有していました。 そこで、これまではあまり協力関係を築いて来なかったニーナワー県保健局とクルド自治政府(アルビル県保健局)が両者の不足を補うために協力する姿勢を見せ始めたのです。これは非常に大きなチャンスと言えるでしょう。実は歴史的にもアラブとクルドの間には苦い経験がありました。ハラプチャの悲劇(サダム政権時代に現在のクルド自治区ハラプチャにおいてイラク軍がクルドニーナワー、アルビル両保健局の責任者と加藤(右端)