ブックタイトルグランドゼロ105号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
85月の時点でイラクの国内避難民の数は300万人を超えました。その大半は他県よりも安全なここクルド自治区に集中しています。国際移住機関(IOM)によれば、これまでにイラク全土で約300万人の国内避難民が発生し、そのうちの37%に相当する100万人超がクルド自治区に避難しています。私たちが活動拠点とするアルビル県においては全体の8%に相当する約25万人が避難生活を送っています。ちなみに私たちがカバーできているのはこうした国内避難民のわずか5万人に過ぎません。クルド自治政府計画省は、こうした国内避難民や近隣からの難民が領域内人口の約30%を占めるに至り、様々な公共サービスを圧迫しているとしています。イラクは数十年に及ぶ戦争状態と経済制裁により国内総生産が著しく落ち込んだ結果、保健分野における公的支出も大きく落ち込んだ状態が長く続いています。そのためISの出現以前から保健行政は停滞し、同セクターは慢性的な薬剤、及び医療必需品の不足に悩まされ続けています。世界保健機関(WHO)は、こうした背景に加えて、現在も継続する武装衝突と不安定な治安状況が医療専門家の国外脱出を助長するなど、当該国の保健インフラに深刻な打撃を与えているため、ベーシックヘルスサービス(最低限の医療サービス)にアクセスできない人口が増加しているとしています。今後のプロジェクトの三本柱○医療アクセスの促進今回のイラク支援プロジェクトは緊急医療支援ということもあり、とにかく必要なものを迅速に調達することに重点を置いていましたが、次のステップではもう少し計画的、かつ組織的支援が必要であると感じています。まず、WHOも指摘しているように、最低限の医療にアクセスできる患者さんを増やすこと。これまでは国内避難民が居住する場所は、ある程度1カ所にまとまっていたのですが、流入する避難民によりアルビル市内の家賃は高騰し、避難民はより安い物件を求めて郊外に移り始めました。そのため、難民居住区は郊外化し、離散化する傾向にあり、その結果クリニックや病院に通うことができない人が増えています。避難民はただでさえ経済的に厳しい状況に置かれているため、遠方から通うための交通費を捻出するのは大変です。こうした人達が医療にアクセスできるよう、居住区にプライマリヘルスケアセンター(簡易診療所)を設置したり、移動診療所を派遣することによって医療サービスを受けられるようにすることが必要になってきます。