ブックタイトルグランドゼロ105号

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概要

「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。

55小出子どもたちのためにとかね、よくみなさん言うんですよ。イコマ言いますよね、未来の子どもたちのためにとかね……。小出そうです。私、そんなこと全然興味がないと言って(笑)子どもたちのためにって、それは、子どもに危害を負わせたくないと私は思うけれども、でも、それは子どものためにそう思うのではなくて、子どもに危害を加えるようなことをもし私がするなら、私のことを許せなくなるから私はやっているだけであって、その違いがものすごく私にとっては大きいのですけど。歴史の流れの中に自分をみて、存在する無数の課題とそれに関わる人々との根源的な地平での連帯へのまなざしを向けながら、小出さんの後ろ姿は凛として揺るぎない。巻末の「Last Talk in Koide BAR」には、お互いの労を労ねぎらってボウモアウィスキー18年ものを傾ける二人の写真がある。柔らかな色調のなかで微笑む二人は、他の青いクロッキーのページの中で、まさに「戦士の休息」である。イコマは最後にこう記している。?一介の絵描きに過ぎない私を受け入れてくださり、絵のモデルになることに不本意でありながらも、私に描くことを許してくださった小出裕章さんに心からの感謝を捧げたいと思います。小出裕章さんに出会えなかったら私は永久に画家にはなれなかったでしょう。そして……小出裕章さんとの出会いが、311という不幸な出来事との引き換えであったということの意味を重く受け止め続けなければいけないとも思っています。***小出さんは3月末に京大原子炉実験室を退官され、4月からJCF事務局のある松本市に移住された。この夏、松本でも「川内原発再稼働反対集会」や「安保法案反対集会」が何回も開かれ、そこで毎回小出さんとお会いした。実際にお会いする前に、この「Koide Blue」のページを何度も繰って強い印象を受けた私は、集会で実際に小出さんをお見かけすると、小出さんの中からクロッキーの線が透けて見えるような不思議な感覚に襲われた。この不思議な本の魅力と力だろう。