ブックタイトルグランドゼロ105号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
54いる場所は、この一点であって、それは私にとってはかけがえのな私の場所なのです。……私は研究室に文化史年表を貼っているのですが、それは、自分がいる場所がどういうところなのかを考えたいからです。……大きな時の流れと世界の広がりを知り、その上で、私はほかの誰でもない私であって、その私として生きることが大事なのだと思います。「研究室の文化史年表」「100年後の人々へ」(集英社新書、2014年)よりこの本のタイトルであり、画集の基調になっているブルーは「憂鬱」のブルーなのだろうか?青は本来、西洋では「神の色」であり「高貴な色」として使われてきたという。後に抽象絵画を創始したカンディンスキーは「天上の色」とまで表現している。西洋絵画の伝統において、青が憂鬱さや貧しさなど負のイメージと結びついて表現されたことはなかった。しかしピカソは親友の死をきっかけに、生と死、貧困といった主題に打ち込み、その作品はしだいに青い闇に覆われていく。ピカソの「青」が憂鬱をイメージするようになる。この画集に漂うブルーは、そういう青い闇の流れも汲みながらも、宇宙や永劫の時の流れの中で、個として群れずに屹立し、死をも自然なものとして受け入れるシンとして永遠を感じさせるブルーだと私は思う。ピアニストのウォン・ウィンツァンは小出を「悲しいまでに戦士」と表した。そして科学者として壇上に立つことはあっても、人前に立つことそこのと自体は決して好んでいるわけでない小出が、当惑し、固辞しても、最終的にイコマのモデルになることを受け入れたのは、一人の画家の魂に同じ戦士の命がけを見出したからではないかと書いている。「Koide BAR」の章ではイコマと小出の短い言葉からなる対話によって、二人の本音が語られている。