ブックタイトルグランドゼロ105号

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概要

「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。

53イコマは小出の勤務先の京大原子炉実験所に通いつめ、小出をスケッチさせて欲しいと懇願する。小出は固辞するが最後にスケッチすることを認める。こうしてイコマは2012年12月から2015年2月まで和歌山県に近い大阪府の南のはずれ、熊取町にある京大原子炉実験所に毎月1回通い、小出研究室で1000枚のクロッキーを作成した。東京に戻ると竹の繊維でできた画用紙に向かい「何も見ずに潜在イメージを出力しながら」竹筆と墨汁、岩絵の具で小出氏の表情、たたずまいを描いた。できあがった絵を、デジタルカメラで複写してパソコンに取り込み、画像処理ソフトでデジタル加工した。こうしてできたドローイングから51点が収録されている。それらの絵は確かに『Koide Blue』としかいい様の無い世界を作り、ページの合間に散りばめられた小出の言葉とともに青い一つの宇宙を作っている。諦めた時が負けだと言い聞かせながら私は原子力を研究しながら、40年以上にわたって原子力に反対してきました。私の人生は敗北の連続でしたし、福島第一原発事故によって私は決定的な敗北を喫しました。事故を防げなかった責任の重大さと、あまりにも非力な自分を改めて思い知らされました。しかし、福島の人々のこと、放射能汚染のことを考えると、いつまでも落ち込んでいるわけにはいきません。諦めた時が最後の負けだと自分に言い聞かせながら、原発と放射能のことについて皆さんにお伝えするために、(…)全国を駆け巡る一年半を送ってきました。(「この国は原発事故から何を学んだのか」(幻冬舎ルネッサンス、2011年より)私は徹底的な個人主義者ですが、人間は個人ひとりでは生きられない社会的な存在です。それも今自分がいるこの社会、この世界ではなくて、すべてが歴史のなかで縦に流れているのです。…今この地球に70億人の人間が生きているわけですが、私の