ブックタイトルグランドゼロ104号

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概要

「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。

51ないというのは、どこかに心理的なしわ寄せか空白を作ってしまう」。(『愛と暴力の戦後とその後』講談社現代新書)私たちはその空白を溢れかえる「モノ」で埋めようとした。今、その「モノ」も失われようとしている。「(…)ネイティブ・アメリカンもヴェトナム人も、日本人も、アメリカ人も。人々は、みなそれぞれに何かの檻(プリズン)に囚われているでしょう。けれど、一人一人が自分を解放するために、記録と言葉はあるのです。」マリは戻ってきたディベートの場でこううったえる。「『私たちは負けてもいい』とはいいません。でも、負けるのならそれはしかたがない。でも、どう負けるかは自分たちで定義したいのです。それをしなかったことこそが、私たちの本当の負けでした。もちろん、私の同朋が犯した過ちはあります。けれど、それと、他人の罪は別のことです。自分たちの過ちを見たくないあまりに、他人の過ちにまで目をつぶってしまったことこそ、私たちの負けだったと、今は思います。自分たちの過ちを認めつつ、他人の罪を問うのはエネルギーのいることです。でも、これからでも、しなければならないのです(…)」。く。昔住んでいた古い家の寒い台所、外にあった流し、お便所までの暗い廊下。お祭りでアコーディオンをひいて物乞いをしていた白装束で片足の無い傷痍軍人。幼心にも痛ましさとそして直視してはいけない恥ずかしさを感じたことを……。あの恥ずかしさは何だったのか。負けた戦争は「恥」だと赤坂は言う。恥であるべきだと。「戦争に負けたのは、いい。しかたない。だけれど、自分を負かした強い者を気持ち良くして利益を引き出したら、それは娼婦だ。続く世代は混乱する、誇りがなくなってしまう」。赤坂真理は、この小説に関してこんなふうに言っている。「日本人による日本の近現代史がどこか痒いところに手が届かないのは、それを語る時多くの人が反射的に感情的になってしまうことこそが、評論や研究をむずかしくしているからだ。だとしたら、感情を理論といっしょに働くものとして扱わなければ、この件の真実に近づくことはできなかった。そしてそうできるメディアは小説だった」「私には戦後の天皇は素朴な疑問であり続けた。なぜ彼は罪を問われなかったのだろうかと。なぜそれを問うてはいけないような空気があるのかと。最高責任者の罪を考えてもいけ