ブックタイトルグランドゼロ104号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
50「最高責任者が責任を問われないとしたら、他の者はみな冤罪になる。ならば、現実の歴史には不自然なことが起きたというわけで、そのことがなぜかと問われたほうがよかった。そして、日本人は問わなかった。その問いじたいがなかったかのようにふるまった。しかし、明白な論理に蓋をすると、自分の頭がおかしくなってしまう」マリはディベートの場で混乱し、筋道立った発言ができなくなる。その後、戦争責任なしの立場に立つクリストファーが天皇機関説を引いて天皇に実質的権限はなかったと論ずるが、マリは論理立った反論ができず、アメリカ人教師や学生には理解不能な言葉しか出てこない。マリはディベートの負けを自ら認める。マリはアメリカに負け、ディベートに負け、アメリカから逃げる。そして30年、2011年、地震と津波と原発事故を経験して、マリは再び声を聞く。「お前たちは物語をなくしてしまっただろう?物語を持たない存在は、本当は生きていないとおなじなのだよ」マリは時空を越えてディベートの場へと帰っていく。これは万が一にも勝てるように作られたゲームではない。絶対勝てない。でも、負けない。天皇の万世一系の意味を問われたマリの説明を聞いて、「では天皇の仕事はセックスか」と嘯うそぶいたアメリカ人が、「イエスも復活後に家族を持っただろう」というマリの言葉には激怒する。「神学論議をするためにここにいるのではない!戦争の話をしているのだ」「いや、神の話なのです。(…)人は神を必要とする。人は神を利用する。でなければ人など大量に殺せない。私の神は特別で、私の方が彼らより神の愛を多く受けている、そう思わなければ。(…)戦争の規模が大きくなるほど、人は人以外の何かを持ちださなければまとまれないことを知ってしまった。神の名においてでなければ、奴らはちがう神を信じている、誤った神を信じているという理由でなければ、あなた方は原子爆弾を、同じ人、、、の子の上に落とせたのですか?(…)」天皇の戦争責任をテーマにどうしてこんなに蠱こわくてき惑的な小説が書けるのだろう。この小説は私に忘れていたことを思い出させる。主人公マリが夢の中で過去の家に戻る時、私も幼い頃に降りてい