ブックタイトルグランドゼロ104号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
45次頁に、第一次安倍政権時代の二〇〇六年十二月に発行された本誌第七十号への寄稿『童わらびがみ神』を再掲しました。この国に忍び寄る戦争への不安がいよいよ高まります。文中に引用した林竹二は、『思想の科学』が一九六二年九月に「日本民主主義の原型」を特集した際、『抵抗の根―田中正造研究への序章』を発表した人物です。この論文が、やがて石牟礼道子を『苦海浄土』執筆へと導いたことは、あまり知られていません。時と場所こそ違え、国家が国民を蹂じゅうりん躙し圧殺する際の、情け容赦無く手段を選ばぬ力の行使は一貫しています。福島県・出会いの旅は、これからも続くことでしょう。内側と外側の、生と死の間に立つこと。その位置から眺めた風景を記憶に留め、生きた証しを未だ見ぬ他者に託すこと。今、辺野古の海で繰り広げられているのと同じ蛮行が、四十六年来、三里塚の住民を苦しめ続けて来たのです。『三里塚に生きる』(大津幸四郎・代島治彦監督作品)。「本当に国家権力というものは恐ろしいな、生きようとする百姓の生をとりあげ、たたきつぶすのだからな」いつ果てるとも知れない闘争の渦中、二十二歳の若さで自ら命を絶った青年行動隊リーダー三ノ宮文男の遺書。当時彼と共に闘争を担った柳川秀夫さんは、今もこの地で農業を営みながら、国家と対峙し続けます。モノクロ映像に写された柳川青年は、上半身裸の姿で、一輪車でスイカを運んでいます。彫刻の如く精悍な肉体の上に、麦藁帽を冠った少年のようにはにかんだ笑顔で。半世紀後、再び大津のカメラの前に立つ彼は、ジェット機の爆音の下で、黙々と農作業に勤しみながら語ります。「生き続けろっていうことは、ここに生きる、生きられる環境を作れ、ってことだんべからなあ、三ノ宮が言ってることはよ」老いた病身をおして三里塚に入り、盟友代島氏と生活を共にしながらの撮影に自らの余命を懸けた大津は、映画の完成後、『ようやく人間が撮れた』と語ったそうです。封切を見届け、静かに逝かれました。享年八十歳。