ブックタイトルグランドゼロ104号

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概要

「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。

44連載随筆宮尾彰間あわいに立つ~福島県・出会いの旅6~NO.59五月二十三日。朝八時四〇分、ポレポレ東中野到着。しばらくして、私の横に五〇代の男性が、次に同世代の女性が、やや遅れて白髪の紳士三名が列を作りました。五月十五日、政府が安全保障関連法案を衆院に提出。五月十七日、那覇市で五万人を集めた沖縄県民大会。五月二十日、翁長知事が記者クラブで緊急記者会見。時宜を逃さず、三上智恵監督は『標的の村』に続く新作『戦いくさば場ぬ止とうどみう』の緊急先行上映会を成し遂げたのです。封切初日、昼前には百数十枚の整理券を完売。急きょ、二十一時過ぎからのレイトショーの追加を決定。羽田から国会前の集会を経て駆け付けた彼女は、夕方と深夜に二回、舞台に立ち、熱烈な拍手に包まれました。主人公の一人は八十五歳になるおばあ、島袋文子さん。十五歳の時、防空壕に潜む母親と彼女を米軍の手榴弾と火炎放射器が襲いました。全身に火傷を負いながら、失明した母親の手を引き、死体を跨またいで逃げ延びました。「生きてきて、楽しいと思ったことは何もなかった」取材を頑なに拒む彼女が、やがてカメラの前で七十年間誰にも明かさなかった物語を語り始めます。ある時には、埋立資材を運ぶトラックの前に仁王立ち。「私を轢ひき殺してから行きなさい!」市井に生きる人間の姿が、ゆるぎない思想を語ります。「誰よりも一途で、ピュアで、寂しがり屋で、人間としての弱さや、かわいいところもすごくあって、私はそんな彼女が大好きなんです」(三上監督)