ブックタイトルグランドゼロ103号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
13クリニックの今後さて、医療支援の方に話を戻します。わたしたちが支援する国内避難民は非常に流動的です。私が1月に調査を行った時に訪れた難民キャンプのいくつかは閉鎖され、新たに設営されたキャンプに移っていました。また建設中のビルなどに住む避難民の中には、ビル内での環境が不衛生かつ混雑が酷いために元のテント生活に戻る家族も見受けられました。クリニックもそうした難民の移動に合わせて対応しようと努力をしています。これまではアインカワ地区のマルチシムーニ教会クリニックが医療サービスを一手に引き受けていたのですが、難民がアインカワだけにとどまらず、各地に点在していることから新しい支部を作り始めています。現在は同アインカワ地区にある「マール・ユースフ教会クリニック」、アルビルの市の中心部にある「ニジュティマーン」、そして教会が借り上げている集合住宅地区「カスナーザーン」の3地区に新しく支部を作りました。そのうちの一つ「ニジュティマーン・クリニック」を調査してきました。ここは上に述べたようにアルビルのダウンタウンにある最も大きな商業施設の中にあります。1、2階はスーク(市場)で、服や電化製品などを売っているのですが、3階から上はアパートになっており、ここにおよそ300家族の避難民が生活しています。この商業施設のオーナーは在米クルド人投資家で、避難民のために無料でここを開放したのだそうです。さて問題なのがクリニックで、2家族が住むアパートの一室をそのままクリニックとして使用しています。実はそこには医師の家族とその親戚が住んでいるために、日頃から患者さスローガンが用いられています。現在フェイスブックやツイッター上では軍事作戦に参加した兵士が『ファーヒシャ(醜聞)』という本を持っている写真が見受けられます。これはスンナ派において尊敬されている預言者ムハンマドの妻アーイシャのスキャンダルについて記述したもので、出版当初からスンナ派イスラム教徒の大きな怒りを引き起こした問題作です。また、ある法学者はスンナ派信徒が重要視する第二代カリフのウマル・ブン・ハッターブが、シーア派信徒にとっての重要人物であるファーティマの死の原因を作ったと宣言しました。こうした動きがイスラム国のみならずスンナ派信徒をも刺激し、さらなる内部対立を招くのではないかと懸念されます。