ブックタイトルグランドゼロ103号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
12の12月を最後に職員の給与が支払われていないそうです。そうしたクルド政府の抱える負担を軽減するためにもこのクリニックで適切かつ十分な医療サービスを提供することは大きな意味を持ってくるのです。避難民の流入によって生活の様々な面でホスト国が圧迫され始めると、避難民と受け入れ側の軋あつれき轢が生じやすくなり、時として深刻な対立を引き起こす場合もあります。特にスンナ派アラブ人の国内避難は「あいつらはイスラム国の一味だ」と中傷され、彼らをクルド自治区から排斥するよう呼びかけるデモが行われたこともありました。またクルド人の知人が半ば怒りながらこのように言ったことがありました。「避難民が大変ことはわかるし、クルド政府側からの支援の手が十分でないことも認めるよ。でもクルド政府はクルド政府としてできることをやっている。クルド政府はモスルから逃げてきた避難民を人道的措置としてろくに検査もせず、旅券がなくても受け入れたじゃないか。その結果クルド自治区内でテロが起こった。こっちも大きな犠牲を払っているんだ!」実際のところ彼の言葉のように緊急対応として境界を開いたことが自爆攻撃を招いたかどうかは定かではありませんが、このように考えるクルド人がいるのも確かなのです。他の対立が浮き彫りに彼のこうした言葉から理解されるように、クルド自治区は難民の受け入れに対して非常に神経質になっています。今後モスルの奪還が行われた場合、多数の難民が発生することが予想されますが、その際にクルド自治政府がどのように対応するのかも議論の一つになっています。果たして彼らはクルド自治区の境界を開き難民を受け入れるのかどうなのか。これを書いている3月9日時点、イスラム国の拠点の一つであるティクリートの奪還作戦が行われていますが、一部シーア派の地区が避難民の入場を拒否したとも伝えられています。現在ティクリートで行われている軍事作戦についてスンナ派のアラブ人たちからは疑問の声が挙がっています。というのも軍事作戦で大きな役割を果たしているのは、イラク軍以上に、『革命防衛隊』と呼ばれるイランの治安部隊や、『ハシュド・シャアビー』と呼ばれるイラク準軍隊(といってもたくさん存在するシーア派の民兵組織を雇用して創設した組織)ばかりで、スンナ派の姿がそこにはないからです。さらにこの軍事作戦を鼓舞するためにスンナ派の信条を貶めるような