ブックタイトルグランドゼロ103号

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概要

「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。

11来ました。このアインカワ地区はアルビル市内にあるキリスト教徒地区であり、避難してきたキリスト教徒は主にこの地区の教会によって庇護されています。昨年の夏、行き場もなく教会の敷地で寝泊まりしていた避難民に医療サービスを提供しようということで、この地区の大きな教会の一つであるマルチシムーニ教会のベフナーム神父が避難民の中から医師を募り、小さなテントで医療サービスを開始しました。それがこのクリニックの始まりです。避難民の発生から半年以上が経過した現在、海外からの支援により当初のテントは複数のコンテナへと変わり、受付、小児科、一般内科、歯科、婦人科、処置室、薬局、薬品倉庫、事務室等を備え、総勢39人のスタッフがクリニックの運営に従事しています。徐々にクリニックの医療体制が整いつつあるのですが、薬品の不足が問題でした。海外のNGOや教会から単発的な薬品支援はあるのですが、これまで安定的、継続的な支援がなかったのです。今回の我々の支援は初の薬品の継続的な支援だということで、クリニックに従事する人々や患者さんたちから大きな期待が寄せられています。クルド自治区における避難民の受け入れ体制は?国内避難民はクルド自治区の公立病院であれば無料で診療を受けることができます。しかし、大量の難民が入って来たことによりクルド自治区内の病院は圧迫されています。国連の協力のもとで行われた調査では、避難民の流入後、クルド自治区の人口は30%増加し、貧困率も3%から8%に上昇したということです。クルド自治政府保健省職員で難民の医療サービス部門の責任者であるカナール医師は、はっきりと「クルド自治区は現在こうした難民を受け入れるだけの力はありません」と述べました。また、噂されているモスル奪還作戦が行われた場合、さらなる難民の流入が予測されるが?と尋ねたところ「そうならないことを願うばかりです」とだけ答えました。要するに手立てがないのです。現在イラク中央政府は危機的な財政難にあり、予算の一部を中央政府に頼っているクルド自治政府も当然その煽りを受けています。クルド自治区はイラク全体の予算の17%を割り当てられていますが、今年はその分配が滞っており、ここ保健省でも昨年JCF支援でネフローゼ症候群から回復した少女とナガム医師