ブックタイトルグランドゼロ101号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
31重い。帰宅困難区域であるため住民はいない。国道に面した家の入口には侵入防止の柵が立てかけられていた。そもそも帰宅困難区域とは特別な許可がなければ、立ち入りできない地域である。放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトを超えており、5年後も20ミリシーベルトを下回らない可能性のある地域であったが、国道の通行規制を解除するために除染したのだった。なぜそんなに規制解除を急いだのか?福島から戻って除染した理由を調べた。福島民報によると〈地元の要請を受けた国が除染作業を進め、規制解除の環境を整えた〉そうだ。双葉地方町村会長を務める大熊町の渡辺利綱町長は「浜通りの物流や人の移動が大幅に改善され、復興のスピードも増す」とコメントしたそうだ。双葉町と大熊町は8月末、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設を受け入れた事にも関係するのかもしれない。このように復興を急ぐ福島県だが、もうすぐ3回目の冬を迎えるのにもかかわらず、仮設住宅に住む住民の落ち着く場所には見通しがつかない。訪問した南相馬市鹿島区の仮設住周辺は農地が宅地化され新しい住宅が立ち並んでいた。それも一部の人の話だ。隣接する仮設住宅に住むお年寄りにとって復興住宅への移動の約束は抽選に当たった限られた人しか叶わない。地元の病院に入院しても3カ月でほかの病院に回され、群馬県の病院に入った男性は、転院後間もなく亡くなったという。転居の後に亡くなったという話を聞いたのはここだけではない。仮設住宅の敷地内にある集会所にはいつもお決まりの顔が集まりおしゃべりや針仕事をして一日を過ごす。津波でご主人を亡くされた女性はお昼休みも自分の仮設に帰ることなく、仮設住宅内の談話室で同じくご主人を亡くされた女性と共に時間を過ごしていた。復興とは名ばかり。現実を見据え、今後も支援をお願いしたい。南相馬市内の塚合仮設に住むおばあちゃん達が作ったフクロウ