ブックタイトルグランドゼロ101号

概要

「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。

15なりました。文化的に性をオープンに語るのは難しく、彼女たちを尊重しながら避妊教育を継続するのであれば、違う形を模索する必要があると思いました。私が最後にエルビルに渡航したのは、ＩＳＩＳ（イスラム国）がモスルを陥落した直後でした。エルビル滞在中にＩＳＩＳによるテロが予告され、充分な石油が供給されず、停電の回数も増加し、身をもって「今までの滞在時とは様子が違う」と感じました。ＪＣＦが長い間サポートし続けてきたイラクのリカ先生が、クリスチャンであるという理由でＩＳＩＳから命を狙われ、７月に日本に避難してきました。８月にリカ先生のご自宅に招かれ、美味しい食事をいただきながら、イラクのクリスチャンの身に何が起きているのか詳細をお聞きしました。ＩＳＩＳが陥落したモスルは、７世紀にイスラムが入って来るまで、クリスチャンが住む土地でした。先生のお母様はイラク南部のバスラ出身ですが、ご両親の家系はどちらも代々クリスチャンで、特にお父様の家系は７代前まで遡れるとのこと。１９４１年にバクダッドで起きたファルフードのこと、１９５０?５１年のユダヤ教迫害から今回のＩＳＩＳによるキリスト教徒の迫害。イラクの歴史に無知な私は、昨日初めて聞く話に衝撃を受けました。リカ先生は、「ＩＳＩＳはイラクからシーア派をも追い出したいの」と言っていました。私の力でできることは限られてるけど、少なくとも友人知人が平和に暮らせるお手伝いができたらと思います。外務省からの資金提供で実施したシリア難民妊産婦支援は、今年の６月で終了しました。今後年内は、ＪＩＭ─ＮＥＴの自己資金で継続します。現在問題になっているのは、妊婦健診がスムーズに行えていないことと、ＪＩＭ─ＮＥＴが供与したエコーが効果的に使用できていないということです。エコーの使用を上手に妊婦健診と絡めて、質の良い妊婦健診が継続して実施できるように、年内までに何とか問題解決したいと思っています。