ブックタイトルグランドゼロ101号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
10イラク国内避難民支援モスル危機から始まった7月22日、日本に緊急避難したリカ先生とお母さんのフダさんは、ようやく2カ月経とうとしている最近になって、お腹から笑い声が出るようになった。リカ先生から「モスルが危機です」とメールが届いたのは、6月10日のことだった。「モスルとその周辺地域が危機です。モスルは完全に侵略され、テロリスト達はカラコーシュのクリスチャン居住地域まで侵攻しつつあります。……私達は、何が起こるか解らないまま家に閉じこもっています。たくさんの人々が、徒歩で家から脱出しようとしています。……水もガソリンも灯油もありません」私達の実情を知ってほしい、と送られてきたメールには英語表記では見られない「……」が数カ所あり、リカ先生の心の動揺が感じられた。それから、1週間の間に、インターネットの通信が難しくなることを心配しながらも、事態もいっそう悪化していった。治安が悪く、患者は病院に来ることができなくなり、携帯電話も通信状態が悪くなっていった。リカ先生に、エルビルのJIM─NET事務局に大至急避難してください、と連絡し、JIM─NET現地スタッフのフォローを求めた。しかし、クルド自治区との間にボーダーの検問所ができ、脱出は難しい、と返事が返ってきた。私達は、ひたすらリカ先生家族の無事を祈った。6月16日、幸いにもリカ先生は、9月、世界児童虐待防止学会に参加するために、ダブルエントリービザを持っていた。日本に行きたい、とメールが届いた。弟さん家族はトルコへの移住を考えていると言う。急遽、フダさんの短期滞在ビザ申請を準備し、来日に至った。2004年イラク支援開始以来のカウンターパート2003年イラク戦争が終わり、イラクの小児がん・白血病の子供達を救おうと日本イラク医療支援ネットワーク(JIM─NET)を設立したのは、2004年の事だった。イラク南部のバスラ、首都のバグダッド、北部のモスルから専門のお医者さんたちが定期的に集まる場を作り、イラン・イラク戦争以来、停滞してしまったイラクの医療の底上げを図り、子供たちの命を助けたい、と日本の専門医との話し合いと医療機器・医薬品の支援を続けてきた。