ブックタイトルグランドゼロ100号
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「グランドゼロ」は、訪問団やセミナーなどJCFの活動の様子、事務局からのお知らせなどを掲載した季刊誌です。
モスル危機の最中でイラクが大変なことになっている。第一報は、4月に帰国していたリカ先生からのメールだった。「モスルをテロリスト達が攻撃しています。たくさんの市民が殺されました。テロリストはキルクークに向かっています。私たち家族が住むカラコーシュにもやってくるでしょう。家に閉じこもっています。水、電気、ガス、オイルがありません。インターネットも使えなくなります」と。3月から4月半ばまで、松本に滞在していたリカ先生から、頻繁な停電と断水という困難な状況を聞いていた。イスラム教スンニ派だったフセインが倒れ、代わったマリキ首相はシーア派である。シーア派との協調を図らず、行政はいたる所で破綻していた。2007年の米軍撤退後は、よりいっそうテロが激化した。リカ先生は、命の危機にさらされながら「私はイラクの子ども達のために働きたい」と頑張ってきた。信州大学でイラクの白血病の遺伝子解析をしながらも、夜遅くまで、現地ドクターと連絡を取り合い、患者家族の相談に乗ってきた。モスルがスンニ派過激集団「イラク・シリア・イスラム国」に制圧された今、リカ先生がかつてモスルの病院の小児血液科の医長をしていたにもかかわらずモスルを逃れた先見性に納得がいく。「人々はクルドに逃れようとしています。しかし、クルドは避難民を入れないよう、ボーダーを作り、閉鎖しました」など等、危機的な状況が伝えられてきた。クルドの首都アルビルにあるJIM-NETの事務所に榎本彰子さんが駐在し、リカ先生と電話連絡を取ってくれていた。しかし、無事が確認でき、ほっとしたのも束の間だった。「砲撃音が聞こえます。弟家族と共にアルビルに行きたい。そして私たちは日本に行きたい」と連絡が入った。ボーダーで何時間も待たされたリカ先生とお母さんのフダさん、弟さんの家族4人がようやくアルビルにたどり着いた写真が、21日リカ先生救出のためにアルビルに行っていたJIM-NET澤田薫さんから送られてきた。リカ先生家族が無事だったことに安堵しつつも、榎本さんや澤田さんの心労はさぞかしだった事と感謝している。今、リカ先生とフダさんに、再び日本に来ていただけるよう準備している。皆さんにも、追ってご報告していきますので、応援をよろしくお願いいたします。(事務局長・神谷さだ子)77