コロナウィルスで、国境封鎖、学級閉鎖、一部国内便の運航停止などてんやわんやのイラク。

クルド自治区も3月下旬に行われる予定であったヌールーズ(春節)の式典をキャンセルすることも発表しています。

 

 

そんな中で、新しくイラクの首相に任命されたムハンマド・アッラウィー氏が新内閣のメンバーを発表しました(漏れた?)。


ムハンマド・アッラーウィー新首相(写真rudawより)

 

政治腐敗の抜本的改革を求めるデモ隊からはムハンマド・アッラウィー氏が首相に就任することついて強く反対する声が出ていますが(政治腐敗の原因とされる既存政権側からの選出であるため)、それに対しアッラウィー首相がどのようにデモ隊側の主張に寄り添い、協調していくことができるでしょうか。

 

今回の新内閣メンバーがどういった人選がなされているかということも一つの指標になるのではないかと思います。特に派閥主義からの脱却をどうのように行うか。また、デモ隊が求めるように早期に解散総選挙を実施できるのかというのも気になるところです。

 

ただ、重要ポストである内務省、そして財務省、商業省、法務省、

国家自治区省(何だこれ?)などがかまだ未定のようです。

 

「国家自治区省」というポストはこれまで内閣のポストとして聞いたことがありませんでしたが、ググってみると、今回アッラーウィー首相がクルド勢力側からの新内閣への支持を得ることを目的とし、これまで3つクルド勢力に割り当てられていた閣僚ポストを4つに増やすために拵えた新ポストであるとのこと。

 

アッラウィー首相は上述したように新内閣は基本的に無所属議員を中心に形成する意向ですが、国家自治区省だけは例外的でクルド勢力のためのポストであり、名称もクルド勢力側が決めたとのこと。(Uruk news 2020/02/24)

ですのでこのポストはクルド勢力が決定することになるのでしょう。

 

その他新閣僚のメンバー気にはなりますが、私も正直よくわからない人ばかりですので、

とりあえず調べて出てきた方々をちょっとご紹介。

 

私たちの活動分野である保健大臣は、公衆衛生(統計)医師であり医療機関での経験を持つ、ムダッル・ザキー・フッダーブ・ハイルッラー氏。イラク南部のズィー・カール県出身で彼の出身であるハイルッラー一族は裕福かつ非常に気前の良さで知られています。ある知人がエジプトでこのハイルッラー一族の方に食事に招かれた際、「エジプトに来ているイラク人はあなただけなのですか?そうでないなら全員連れてきなさい。」と言われ、「30人ほどいますが。。。」と答えると、「30人全員連れてきなさい。」と言われ、本当に30人全員が御馳走なり、一同「さすがハイルッラー一族!」と感心したことがあるそうです。

 

高等教育省および、科学調査省にはモスル出身のマザーヒム・カーシム・ハムゥ・アフマド・ハイヤート氏。

彼は、外科医であり現ニナワ大学の学長。2019年モスル県知事が空席になった際、知事代理としてお勤めになったこともあります。


マザーヒム・カーシム高等教育省大臣 facebook Iraq Doctorsより。

 

 

ちなみにイスラム国が出現する以前のモスルも様々な武装勢力などにより治安が荒れに荒れていまして、このことがwikipediaにも「モスル大学教員襲撃事件」として短いですが記載されています。ここに35人暗殺ターゲットリストがあり、それぞれ氏名も記載されていますが、ここにマザーヒム氏の名前もあります。(恐ろしい。。。ちなみにこうした事件が相次いだせいで医師やエンジニアなどの専門家がイラクから国外に脱出し、モスルでは専門知識を有する白血病治療が大幅に遅れることになりました。JCFはこれを解決するための事業を現在実施しています。)

 

実際2006年には彼を狙った襲撃事件が起こっています。彼が大学校舎内で何者かにより複数の銃弾を浴び、運ばれてきた時、抗生物質を緊急で届けた医師によると「4か月間意識不明の状態が続き、また17回手術を行い、1年以上入院していた。」とのこと。生死を彷徨うも無事生還されたなかなかのタフガイでいらっしゃいます。(あとサッカー好きだそうです。)

 

また避難民省大臣にはバーシム・ジャミール・ジャルジス(ヤズィード教徒)、ビジネスマン、経済評論家・・・

などなど他にもまだたくさん名前が挙がっている方がいらしゃいますが、また追ってご報告したいと思います(ちょっと面倒になってきましたので。。。)

 

今日、国会で内閣に対する信任が行われることになっていますが、無事組閣できるでしょうか。

一日も早く、政府と市民が協力していけるような新たなイラクが誕生することを切に願っています。。。

 

 

ピンピンひらり

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