これまでも難民キャンプの移り変わりをお伝えしてきましたが、その続報です。

現在日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)の佐藤真紀事務局長と井下医師がアルビルを訪問しており、御二人にアンカワの様子を見ていただきました。佐藤事務局長によるとこれまで難民が暮らしていたテントはほぼなくなり、皆新しい住居に移ったということです。

JIM-NET佐藤事務局長と井下医師 ナガム先生と

 

地元のメディアもこれについての詳細を伝えていますのでご紹介します。

 

テント生活からコンテナへ

「アンカワ地区の難民のテント生活は、住民が他の場所に移ったことで終了した。敷地はサハル・ナイナワー地方からの避難者を受け入れるために今年の8月7日からキャンプの設営場所として使用された。教会によると、長くテント生活を営んでいた家族は月収500万ディナー(およそ400$)ほどの低所得者層であった。

およそ600家族の難民のうち400家族が建設途中のモールへ、アンカワ北西部に準備されたコンテナに移り住んだ。アンカワの教会はこれまで避難民に食料や必要な物資の援助を献身的に行ってきた。」

http://www.ankawa.com/forum/index.php?topic=759641.0

 

 

かつてテントであふれていた敷地 ankawa.com

 

アンカワ地区の難民キャンプは多くの支援が寄せられたお陰で、改善の度合いが比較的早いような印象を受けます。しかし改善されたとはいえコンテナやモール内での生活は厳しいものです。

 

http://youtu.be/hM7x56RLaSE

こちらのニュース映像では冬の寒さが問題になっていると報じています。

クルド政府難民省は現地マーケットの協力の下、十分な暖房器具や防寒具を提供しているとしていますが、難民側からは、「私たちは大丈夫ですが、子供たちは耐えられない。」「ストーブはあっても灯油やガスがない。」「電気ストーブは電気がないから使えない。」といった声が上がっています。キャパシティを超える難民にクルド政府は対応するのが難しい状況であると締めくくっています。

 

 

 

またアルビルの北に位置するバフラカ難民キャンプの様子をメディアが伝えています。

 

バフラカ難民キャンプ

「アルビルの中心から30キロほど離れたところにバフラカ難民キャンプがある。アンカワのキャンプは主にキリスト教徒が暮らしているが、ここは様々な民族、宗派の避難民(およそ800家族)が暮らしている。キリスト教徒もいれば、カーカ教徒、シャバク教徒、そしてスンナ派、シーア派のイスラム教徒もいる。(モスルからの避難民の他にティクリートからの避難民もいるようです。)

 

キャンプの管理委員会は住人のストレスを軽減することに努め、子どものためのプログラムを提供しているが、大人もそれを受けにやってくる。またここでは職業訓練所も開設され女性が裁縫などに取り組んでいる。ここでは宗派や民族の違いによる衝突などは起きていない。しかしモスルから避難してきた子供は誰かが自分を殺しにくるのではと恐がっている。

 

齢70歳になろうかという老人はどうしてここに来たのかという質問にこう答えた。「私はスンナ派イスラム教徒なのでイスラム国に狙われることはありません。私はここに10人の子供たちと避難してきましたが、彼らがイスラム国に徴兵されないようにするためです。キリスト教徒もカーカ教徒もヤズディ教徒もみんな昔からモスルに住むモスル市民です。これまでにキリスト教徒が何か悪さをしたというのは聞いたことはありませんし、ヤズィディ教徒も同様です。」

 

バフラカ難民キャンプにおける最大の問題は水やトイレである。簡易トイレには長い列が作られ、混乱を避けるために距離とって並ぶ。キャンプの運営はアルビル市民がクルド政府の指導の下で行っており、宗派や民族によって彼らをわけ隔てることはない。一度難民のある男性がかつて軍の戦闘部隊で勤務していたことを理由に優遇されるべきだと主張したことがあったが、運営側はそれを拒否した。

 

また神経症や鬱病といった精神疾患も問題だ。キャンプの運営に携わる女性は「疲れて休む時を除いて叫び続ける若い女性がいます。何かに自分が追いかけられていると思い込んでいるのです。彼女は何であれ車を目にするとその車が自分を故郷に連れて帰ってくれるのではと思い、走りだしテントの扉にしがみつきます。これは彼女の夢なのです。自分の家に帰りたいという夢のために精神を患ってしまったようです。」と語った。

 

様々なNGOが支援を行い、寄付を募ってはいるが、それも難民らが直面する試練に比せば僅かなものだ。このような状況について皆口をそろえて「中央政府の不備のせいだ。」と政府批判を行っている。モスルで公務員として勤めていた難民の一人は、離職していないにも関わらず給料を受け取れていないということだ。」http://www.ankawa.com/forum/index.php?topic=759236.0

 

バフラカ難民キャンプの敷地は以前はシリア難民支援のための拠点だったということです。

 

バフラカ難民キャンプの映像をご覧いただけます。ただし映像は夏に撮影されたものです。

http://www.youtube.com/watch?v=gMwoMiPUpR0

 

今日はアンカワ地区の続報とバフラカ難民キャンプについてお伝えしました。

 

 

ピンピンひらり

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