イラク:Drバッサームと娘のラナ

 
これまでJCFは医療支援を通じてチェルノブイリやイラクと関わってきたことで私たちは様々な事情を持つ医師たちと知り合いました。現在私たちが支援を開始しようとしているマルチシモーネ教会難民キャンプにもまた特別な事情を抱えた医師がいます。

左から二番目がバッサーム医師 右から二番目がラナ

 Drバッサームはナイナワー県のタルサクフという小さな街で医療に従事していました。武装衝突の恐れのあるタルサクフで何とか家族を守りながら暮らしていましが今年の8月6日、イスラム国の勢力がタルサクフにまで及んだため、避難を決意しました。しかし避難生活を送る中、彼は娘の一人ラナの体に異常があることに気づきました。彼女の上半身から腕にかけて痣のような斑点が浮かんでいたのです。医師であるバッサームさんはその異常を察知し、検査のできるモスルまで14時間かけて向かいました。通常は1時間ほどで行ける距離ですが、避難する人々で道が混雑していたのです。

 混乱した状況の中でDrバッサームは娘が白血病に罹っていることを知らされました。自身が医師でもあり、このような状況下での治療の困難さを良く分っているためまさに絶望的だったということです。イラクでの白血病治療は治安の問題が大きな障害になっていますが、診断技術の遅れや適切な医療設備の不足がそれに追い打ちをかけています。イラク国内に白血病を治療する施設は存在しますが十分に機能していません。そのため治療は不可能かと思われました。

 そのような状況でラナを寛解にまで導いたのがリカア先生です。リカア先生は大学での研究作業を終えた後、ラナのような適切な治療を受けられない患者に松本市内のアパートから投薬のプロトコルを指導しています。そのやり方はユニークで、スマホやパソコンのインスタントメッセンジャーを使ってプロトコルを指導するというものです。検査結果やラナの写真をやり取しながらリカア先生が必要な薬品とそのプロトコルを指示し、バッサームさんが薬を購入し、支持通りに投薬する。このようなことが遠隔で行えるものかと驚きましたが、実際ラナは寛解にまで至りました。

日本から離れたイラクの患者を治療するリカア先生

 時折お金がなくて必要な薬を手に入れられない時もありましたが、その度に適切な支援を受けることができ彼女は治療を継続できています。奇蹟的なケースですが、適切な支援があればこのような事例をつくることができると思わされます。うまくいった事例をご紹介しました。

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